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久々に

2009/11/28 23:26
ちょーっとだけ長い小説を書いたぞこのやろー!
モチと九重の馴初め小説だぞこのやろー。
漫画は書くつもりだが、取り敢えず苦戦している今はこれで勘弁してください!

うーんと、多分12禁くらいかな。
ただたんにチュッチュクしてるだけなんでw
ディープキスなんて、今時幼稚園児でも小学生でもやってるじゃんね、ね?
この前生で見てしまったもの。
男の子同士でキスしている可愛い若者(小学生)を・・・・!
今時の子は早いわねー・・・お姉さんもうどうしたらいいか・・・
さあ夢の世界へゴートぅーヘブーン!

ごめんなさい、ちょっとってか、かなり馬鹿だけど見逃してやって下さい。
さて、小説は追記からです。





ゴツン!
厚い雲と青い隙間。
それらによって形成されている空には、これでもかと言うほど強く照りつき人間を締め付ける太陽があった。
太陽は照りつけるあまり白くなった世界に、建物の隙間すきまに強いコントラストを置き、暑く焼けた地面からは陽炎を立ち昇らせていた。
水さえあれば何とか生き延びられる程の気温を保った日本に組み込まれたある地域の又々とある其の中の一角。
少し肌寒いくらいにガンガンに掛かったクーラーのモーター音、スイッチの切られた部屋の電気達、外から光が漏れない様に閉め切られた2重のカーテン。
真っ暗な四角に囲まれたそこは静かで、ただ一人の寝息と、啜り泣く様な声が一つ。
時間はだいたい午後3時。
啜り泣いていた男の方がのそのそと動く衣擦れを聞いた。
寝ていた主が、自分の鳴き声に気付き起きたのだとしたら、安眠を奪ってしまったのではないだろうかと不安になる。
馬鹿な事をしてしまったと考えた其の時、突然大きな音が脳天を裂いて鼓膜に響く。
痛い。
手に治まるくらいの堅くて大きい四角の縁を象った物体が、俺の頭に激突した。

「ぃっったぁ・・・!」
余りの痛さに勢い良く顔を上げると、その衝撃でまだ完全に手を引いていなかった角に再度頭を打ち付けた。
それと同時に、部屋の電気が一斉に明かりを放ち、暗闇に慣れていた目が突然の変化について行けずにくらくらした。

「うわっ!痛!まぶしっ・・・・・!んぬぁにするんですか!」

「ふんっ!昨日俺の家に勝手に上がり込んで、机に突っ伏して泣いている奴が居たようだから誰か確かめる為に殴ったんだ。何だお前だったのか、もっと殴ってほしければそう言えば良いものを。
おりゃっ!」

下から見れば斜め50度くらいの角度まで顎を上げ、小馬鹿にしたようにこちらに眼を向ける主は、再度俺の頭を本の角で小突く為にスタンバイしているようだ。
早く逃げなければ又あたってしまう。
振り下ろされる寸前で机に付いたまま上を向いた顔をスライドさせ、間一髪で逃げ切った。
本の角が俺の毛先を擦り机の真上にごつんと音を立てた。

「あーもう、怖いなぁ。
先輩だって聞いているんでしょう?
俺がバイトの子に振られた事くらい。
今凄く俺弱ってるんです。
折角慰めてもらおうとここに来たのに、逆に不快になりました、帰ります。」

ため息を付いていそいそと立ち上がろうとした其の時、腕を軽く引っ張られ気付いた時には先ほどまで座っていた椅子に尻餅をついていた。
視線を、掴まれた手から間近に迫った顔にうつす。
「何ですか先輩。」
「どうせお前、慰めてくれる友達もバイト先の慕ってくれている人間も居ないもんだから唯一構ってくれる俺んところに電車賃1500円も出して来たんだろ?」
いきなり言い当てられた言葉に面喰らった。
確かに友達と呼べる友達は居ないが、本人の目の前でそう安々と言われるといくら穏やか極まりない俺の性格でも少しはむかついても良い筈だ。
「うっ・・・そう、ですけど。
合って間もない他人にそんなきつい事言うと嫌われちゃいますよ。」
「俺は一度嫌われてたとしても、代えが山ほど居るからな。
気に入らない輩は切って捨てる、それが俺だ。」
「先輩ってやっぱり外道・・・。
そういう人間になんであんなに人が付いて行くんですかね、やっぱその形よく整った顔ですか。
そうなんですね?あー、ますますムカついてきた。」
その様子をニヤニヤ見ていた奴の顔がピクリと引きつった。
顔のパーツがヌルリと動き、眉と口角が見る見るうちに引き上げられ、笑っているのか怒っているのか分からない様な恐ろしい表情が姿を現す。
その怒った顔の主が俺の頭に手を伸ばし、そのままチカラを入れぐっと上を向かせた。
この顔が本当に危ない危険信号だと言う事は、出合った2日目から既に熟知していた。
自然と自分の口角も申し分ない程まであがり、双眸は少しでもこの恐怖から逃れようとあちらこちらに泳いだ。
「えーっと、あの・・・先輩?」
「お前、前にも言ったよな?」
「えっと・・・何を・・・?」
「顔!」
「か、顔?ん?あぁ!!」
一文字の言葉が、忘れていた数日前の出来事を思い出させた。
そういえば、この先輩が自分の顔について語られるのが嫌いだった。

先輩とバイト先で出会って2日目の日。
やたらと客にもバイトの女の子にもキャーキャー言われている先輩に出くわした。
未だ声も碌に聞いた事が無いが、どこか思い詰めたような面持ちの顔は、余り近寄ってはいけないような雰囲気を醸し出していた。
肌は浅黒く猫っ毛の黒髪を胸の辺りまでのばし、前髪で隠れた眼と更に上から重なる眼鏡とで、暗い印象を受ける。
いくら顔が良いとしてもそんな姿格好では余り人が寄り付かないように思っていたのだがそれはとんだ間違いだったようで、人々は身近に居る顔立ちの良い人間を見逃さなかった。
それでもキャーキャー言われている本人は嬉しそうにするでもなく、立ちふさがる観客を目の前に手を休めずに働き、時には仕事を阻む人間に対してうざそうに睨みつけていた。
ぼーっとその姿を追っていると、先輩の前に立ちはだかって離れなかった女が、いきなり先輩の腕を掴んだ。
今まで人間らしい行動をしなかった彼が他人に接した時、いったいどう言う対応を取るのか少し興味があった。
ガラス越しに映った無音な光景をじっと見る。
女が腕を離しそのまま先輩の口元へと指を運ぶ。
女の口が何かを紡ぐ。
其の途端、先輩の態度が豹変した。
眉や口角は吊りあがりそれでも目は笑っていない。
そう、今の俺の目の前に居る先輩の様に。
器用な顔をして、拳を大きく振り上げ今にも女を殴りそうな勢いだった。
あぁ、次瞬きをして眼を開けたらこの女は殴られてしまっているのだろう。
そう他人事のように考えていた。
別に目の前の女が殴られようと、どうなろうと関係ない。
自分が無事ならそれでいいのだ。
だが、共に同じ店で働くこの先輩が暴力事件を引き起こし、警察に捕まった挙げ句、バイトを止めさせられるはめになるのは、何故だか分からないが少しだけ癪だった。
そう思った瞬間、自然に体が走り出していた。
店の中にあった花瓶をつかみ扉を開けると、すぐにそれを先輩と女の顔の前に思いっきり投げつけた。
すると花瓶は、見事に二人の鼻先を掠め、綺麗な弧を描いて通り過ぎた。
豹変していた先輩の顔が見る見るうちに間抜けな顔つきになり、一方でぽかんと口を緩めた女とともにこちらへと視線を向けた。
二人同時にこちらを見る事は分かっていたが、実際に見られるとなると少し怖じ気づいてしまう。
それでも腰に手を当て、言わなければ伝わらないこの状況を乗り切る為、言葉を発した。
「こらこら。
店の前で何やってるんですか、善哉先輩。
殴った時点で警察行きですよ?分かってます?」
「・・・俺は警察行きでも構わないんだがな。
ところでお前か、この花瓶。」
「はぁ、そうですけど。」
「じゃあ野球でもやってたか。」
「小学生の時少しだけ、それが何か?」
「いや、見事なコントロールだと思ってな。」
「ありがとうございます。
取り敢えず、女の人逃げたみたいなんで中入りませんか。」
そう言うと先輩ははっと気付いた様にきょろきょろと辺りを見回していたが、先輩の横に立っていた女は俺に救われたのだと勘違いし、ひっそりとだが足早に逃げ去っていた。
先輩はため息をついて仕方が無いと、のそのそと勢いで手放した店の道具を持って歩いてきた。
「お前、名前は。」
そう聞かれて、先輩の自分に対しての興味が全く無かったのだと言う事に気が付き、少し口惜しく思った。
バイト初日、俺は10分ほど遅刻した。
慌てて走ってきた物だから、髪の毛の寝癖が治ってないのは勿論の事、歯すらも磨いていない、酷い有様だった。
店に着き扉を開いた瞬間、息を切らしながら大きな声でこう言い放った。
「新しくバイトに入る桜モチです、早々に遅刻してすみませんでした!」
裏口に回るのも忘れ店内に大きな声が響き渡り、来ていた客も店員も皆して俺を見て笑ったり呆れたり、様々な表情を見せた。
インパクトのある名前に、インパクトのある登場。
顔と名前を覚えるには苦労しない筈だ。
それなのに覚えられていないという事は、余程興味が無かったのだろう。
それとも、この人自体、人間に興味がないのかもしれない。
「桜モチですけど。」
「和菓子みたいな名前だな。」
「そういう先輩こそ読み方は違えど名字がぜんざいじゃないですか。
お互い様ですよ。」
呆れ混じりに言うと、先輩はそういうものか、と鼻で笑った。
それを見届けて、先ほど起った事の成り行きを訪ねる。
「ところで、何で行きなり女性の事を殴ったんですか。」
「いや、俺の顔が・・・」
それだけ言って口ごもった。
顔がどうしたのだと言うのだろうか。
何処からどう見たって美麗でしかない先輩を見て頭を傾げる。
「はぁ、顔が何です?」
「いやな、俺の顔立ちが良いとか何とか言いやがるもんだから、その。」
「それで?」
「いや、だから。」
「殴ったんですか、それだけで。」
呆れた様に先輩の顔を見ると、眉が吊り上がるのを見逃さない。
荒立たし気に頭に手を入れた先輩は、そのままワシャワシャと爪を立てた。
「そうだ、昔から顔について言われるのは胸くそ悪くてな。
感情のコントロールが効かない程に逆上して、誰かに止められるまでずっと暴れ回る。だから警察にも何度か世話になった。」
「へー、先輩は其の顔がコンプレックスなんですね。
大嫌いな人に似てるとかそんな感じの理由だったりします?」
先輩の瞳が少しだけ揺らいで、少し寂しそうな顔が俺の瞳をまっすぐに見据える。
どこか遠くを見ているようで、それでもしっかりとこちらを見ていた。
その目を直に受けながら目をそらさないでいると、段々先輩の目に光が戻り唇を動かした。
「そんな理由じゃない。
だが・・・」
言葉を濁して横目でちらりとこちらを見た。
不思議に思い、先輩の次の言葉を待った。
「これからは警察に世話になる事も少なくなりそうだ。」
そう言ってにこっと笑った。
今まで見た中で一番人間らしい笑顔で、こんな顔も出来るのかとぼんやりと思った。
「どういう意味ですか?」
「いや、お前が隣に居ればさっきみたいに花瓶とか物を投げて俺を正気にさせる事が出来るんじゃないかと。
あぁ、正気に戻せるなら殴るなり花瓶を頭にぶつけようとどんな手を使ってでもいいから。」
「そう言う事ですか。
バイトに居る間だけで良いならそのくらいはしますよ。
でも僕の投げる物は何だって目的の場所へ飛ぶんで、頭にぶつける心配は無いです。
見た目はこんなんですけど、コントロールは割と得意分野なんですよ。
その変わり・・・」
言葉を切って先輩の頬に触れ、挑むように笑う。
「俺は、この顔結構好きですよ。
先輩、あんまり笑った事ないでしょ、勿体ない。
でも、それで良いです。
俺が笑って欲しいと言ったら笑って下さい?
それが条件です。」
先輩はアッサリと承諾された事に驚き、更に出された要求に目が点になっていた。
「・・・あぁ分かった、分かったんだが・・・。
でもお前はその取引で満足なのか?
女じゃなくて、野郎の笑顔だぞ?
そんなん見て楽しいのか?」
「えぇ、楽しいですよ。
だって貴重ですし。」
「貴重・・・?」

「先輩みたいに無口そうな人の笑顔、そりゃもう貴重じゃないですか。
さっきの笑顔なんて写メしたかったくらいです。」
「あっそう。
お前、変な奴だし友達いないだろ。」
「そーですねー、身近に居た人が俺の変態テンションに付いて来れなくって。
初めは良いんですけどね、皆気付いて離れて行っちゃいました。
彼女なんて残念ながら出来た事、無いですよ。」
「あー、やっぱり。」
それが俺と先輩の出会いだった。
以下の会話は驚く程くだらない会話が続いたので、適当に想像してもらえるとありがたい。
この件以来、先輩とはメールや電話番号を公開し合い、よく話すようになった。
詰まらない事にメールをして、時には面白い話で朝方になるまで話し込み、二人揃ってバイトをずる休みして怒られた挙げ句、ペナルティとして給料が半月分パーになったりした。
先輩と話しているうちに分かった事なのだが、意外と先輩には人間臭い面がある。
普通に仕事中に居眠りをしてしまったり、見えにくい段差に躓いたり、普通の人間がやってしまう様な小さなミスを何度も繰り返した。
むしろ不器用で鈍臭い俺よりもその回数は多かったように思う。
無口そうに見えるポーカーフェースからは想像が付かず、思わず何度も吹き出してしまいそうになった。
そうした合間にも、やはり先輩は何人もの客に囲まれ、身動きが取れなくなっている時が多々あった。
其の時は顔が普通の俺が悠々と客と先輩の間に入り、客を撒く役を買っていた。
勿論豹変した先輩のフォローも今ではすっかり俺の仕事である。
いつしかそのフォローする理由を忘れ去っていたようだ。
フォローをしなければ成らない立場の俺が、まさに今フォローされなくては成らない立場に立っているのはどう言う事だろう。
「せ、先輩?落ち着きましょう。
すみませんでした、いや本当に・・・!」
「お前って奴は・・・とんだ馬鹿だな?
顔の事は禁句って言っただろう。
まさか忘れた訳ではないな。」
顔が近い。
至近距離、撲滅キャンペーン実施中!
俺が顔の事を言って先輩が怒ったのは初めての事だった。
今まで散々カラかって遊んでいたのだが、一度も態度が豹変する事は無かった。
それなのにどうして今・・・?
そう考えた時だった。
先輩の手が俺の頬へと置かれ、そのまま其の指を下に滑らせ或る一点で止まり、やさしくそれを撫で始めた。
柔らかいそれは、くすぐったさに軽く開く。
鼓動の方は煩いくらいに波打った。
「?何ですか先輩。」
「悪い子にはお仕置きだ。」
意地の悪い顔で言って、先輩は俺の顎を掴んで軽く上を向かせた。
段々と顔が近づき、深みを持った緑色の眼が俺の視界を埋め尽くす。
口と口が軽く触れ合い、俺は目を見開いた。
「・・・?」
しばらく様子が飲み込めず、目の前で閉じられた目蓋に自分の目をパチクリさせる。
繊細に伸びた長い睫毛、キリリと整う凛々しい眉毛。
微かに聞こえる息遣いが、耳の奥まで響き渡る。
先輩の目がゆっくりと半分開き、再度目が合う。
肩がピクリと反応を示し、それが合図だったかのように先輩の唇の隙間から伸びた舌が、俺の乾いたそれを湿らせた。
ヌル付いたそれはまんまと開いてしまった俺の口内に易々と侵入する。
「んっ・・・
ぅ・・・ふぅぅっ・・ん・・・ぁ」
歯列を撫られるこそばゆさに思わず声を上げてしまう。
今まで一度も含んだ事の無い自分では無い誰かの舌。
何度自分を犯してみても、埋まらなかった、人と繋がっているという安心や満足感。
やっと手に入れる事が出来たそれらが綯い交ぜになって全身を快楽で埋め尽くした。
人と触れるという事はこういう感じなのかと頭の隅で考えていると、先輩の口が離れた。
接触していた部分に、飲みきれなかった唾液が先輩と俺の間で糸を引いた。
少し赤らんでいる先輩の頬と乱れた息とで、目の前が思考回路が停止しそうになった意識を必死に取り戻すと、俺は言葉を紡いだ。
「ど・・・して?」
「お仕置きだと言っただろう。」
肩眉を上げて何を今更とでも言う様にため息をつく。
其の様子に、小さな棘が俺の中を軽く刺激した様な不安を抱いた。
「お仕置き・・・
でも先輩、今まで俺が先輩の顔の事どれだけ言おうが反応しなかったじゃないですか。」
「それはお前なら許せると思ったからで。」
俺だったから許せた?
先輩の言った言葉に甘い感情が脳内に流れ込む。
もしかしたら、そんな小さな期待を胸に先輩を問いつめた。
「なのに今更・・・?嘘でしょう。
何か別に理由があるんじゃないですか?
じゃないと、こんな甘いお仕置きなんて出来ませんよね。」
「・・・甘くはないだろ。
お前は野郎に口付けをされて喜ぶ男が居ると思うか?」
困惑したように俺を見据えていた先輩の目が流し目に変わり、何処に向けるでも無く伏せられる。
後もう一押しでこの人を手に入れられるかもしれない。
後もう一押し。
心の中で急いで出ようとする感情をどうにか押しとどめ、息を深くすって体を落ち着かせた。
「それはそうですけど。
でもそれじゃあ先輩が自分自身にもお仕置きしてるってことにもなりません?」
「どう言うことだ。」
「さっきの発言もそうですけど・・・。
先輩前に男に痴漢された事があって男が大嫌いになったて言っていたでしょう。
そんな人がこんな事するなんて自分にお仕置きしてるような物ですよ。」
嫌な事を思い出させてしまったのか、薄らと開いた眼鏡越しに写る目は、こちらをを怪訝そうに見ていた。
そう言う反抗的な目つきでさえ、今では愛おしい。
早く俺の元へと落ちてしまえば良い、素直に俺の事を好きだと言えば良い。
そんな感情が頭の中をグルグルと彷徨った。
「あぁ・・・そんな事も話したんだっけな。」
言わなければ良かったと後悔しているのか、頭に手を当てて俯いた先輩は、ちらりと視線をこちらに向け、少しだけ微笑んだ。
「お前といるとな、なんかお前が男だと言う事を忘れてしまう事があるんだ。
かといって女程煩い物でも無いし、中性って所か。
まぁなんと言うか、不思議とお前は嫌じゃない。」

「ふーん、それは、心を許し合える友として、ですか。
それとも・・・。」
それとも___。

「バイトの女に振られて落ち込んでいるお前を友として、慰めようとしたんだが・・・。
どうやら慰め方を間違えたみたいだな。」
次の瞬間目の前がくらりと歪み、視界が黒く塗りつぶされた。
目は開けて居る筈なのに、暗闇と滲み出そうになっている涙とで全く前が見えない。
もう顔を上げて先輩を見る事など出来よう筈もない。
見てしまったら大量の涙が一斉に溢れ出してくる事が分かっていたから。
男なのに泣くだなんて情けないそう思いながら、藁にも縋る想いで繰り返し質問を投げつける。
声が自然と震えるのを必死に押さえ、一言ひとこと、ゆっくりだがしっかりと明確に発言した。
「友として、ですか。
・・・本当に?」
「あぁ、本当だ。」
「そっか・・・。
先輩、女の子達にもいつもこんな感じで慰めてあげてるんですか?」
「んー、まぁそんな所か。」
そう言って先輩は立ち上がりリビングの方へと消えて行った。
やっぱり自分は先輩の特別になれないのか、そもそも同性を好きになってしまったのが間違いだったのか。
そう思うと涙が留めど無く溢れ出した。
其の顔を見られまいと顔を膝に付けるが、それは声となって部屋に響いた。
いくら泣き顔を隠せても声を隠せなければ意味が無い。
出来るだけ気付かれない様に、声を押し殺して泣いた。
「ところでお前、コーヒーかお茶かジュース、どれが良い。
折角金をかけてここまで来たんだ。
何もさせないで返す程、俺は金に対して甘くない・・・ん?」
台所に歩み寄り冷蔵庫の中を探っていた先輩が俺の異変に気付き、暖簾を軽く押しのけて隙間から目を覗かせた。
「何だお前、何で泣いている。」
「・・・何でもな・・ただお腹が苦しいだけです。
今まで味わった事の無いくらいに、涙が出るくらいに。」
「腹が涙出るくらいに?
じゃ、夏だが冷たいのは良く無いな。
待ってろ。」
そう言って又先輩は台所へと消えて行った。
呑気に鼻歌を歌い、水を汲む音が聞こえたかと思うと、今度はガスコンロがカチカチとなるのを聞いた。
お湯を沸かしていることを考えると、選択肢はどうやらお茶かコーヒーに絞られたらしい。
しばらくして、香ばしい匂いが部屋中を包み込んだ。
苦い特徴のある匂いからして、コーヒーをいれたのだろう。
先輩の歩く足音が段々近づいて、俺の目の前に2秒もしない内に両手に同じ柄の色違いのマグカップをもった先輩が姿を現した。
軽くかがみ込んだ先輩が俺の顔を覗き込み、眉をひそめた。
「まだ泣いていたのか?
折角俺が慰めてやったのに・・・。
余程あの女に振られたのがショックだったんだな、ほらよ。」
余りにも鈍感で救いようの無い先輩が、コーヒーの入った赤い方のマグカップのを俺に手渡してくる。
それを涙混りの顔を少し上げて受け取ると、先輩が俺の真横に座った。
動揺してマグカップに目を移すと、其のマグカップが先輩と同じ柄であった事に気が付いた。
一人暮らしの先輩がペアのマグカップを持っているという事は、やはり女がこの部屋に出入りしているというのはどうやら本当らしかった。
其の事に軽く腹を立たせ、俯いた。
其の様子を見ていたのだろう先輩が、俺の頭に軽く手を載せ、先ほどぶつけた衝撃で出来たタンコブを優しく撫でながら、ちっさい瘤だな、と軽く笑ってみせた。
「誰が付けた瘤ですか・・・。」
掠れた声でイチャモンを付けると、先輩が喉の奥でくくっと小さく笑う。
先輩の優しさにどう反応すればいいか分からず、ゆっくりと先輩の肩に頭を預ける。
避けようとしない先輩に安心して、まだ暖かいコーヒーを少しだけ口に含んだ。
口の中に苦さと甘さが交互に交差する。
砂糖は2つ。
出会って間もない頃に話したほんの些細な会話だったが、どうやら先輩は覚えてくれていたらしい。
いつも飲んで慣れてしまったこの味は、しゃくり上げて痛くなった喉をゆるりと流れ込み、今日だけで2度も失恋した俺を慰めるかの様に胃の中を暖かさで満たした。
いつか先輩が俺の事をちゃんと見てくれる日が来るまで諦めるつもりは無いが、今流れているこの優しい時間を壊したくは無かった。
ただ優しく頭を撫で続ける先輩に身を任せ、息をする度に緩やかに波打つ体の体温を感じていたかった。
次にこの目が覚めてしまうまで、神様どうかこのままで。







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